春の花を楽しめる観光地

ひと足早い春の訪れ

熱海城と桜のイメージ

春は1年の中でも最も花の多い季節。伊豆では、ひと足早い春の訪れを感じることができます。1月頃から花を咲かせる、早咲き桜、「河津桜」「あたみ桜」「寒桜」を見ることができる名所がいくつかあります。開花期間1か月以上と長く、3月頃からはソメイヨシノも見頃を迎えますので、長い間桜を見ることができます。また、県の花となっている「つつじ」も4月中旬から5月中旬が見ごろを迎えます。こちらでは、春に見ごろを迎える花の観光名所をご紹介します。

熱海城

熱海の景勝地錦ヶ浦にそびえたつ熱海城には武家文化資料館や日本城郭資料館などの各種展示物があり、展望天守閣からの眺望は熱海随一とも言われます。春には200本余りの桜が咲き乱れる桜の名所として知られており、夏には海上花火大会を天守閣より見物できます。じつは熱海城(あたみじょう)という城郭は、歴史的に実在したものではありません。昭和34年に日本の城郭に見られる天守を模して、外観5層、内部9階のこの城は海抜100メートルの位置に建てられました。浅野祥雲作による金鯱を戴く天守閣からは熱海市街だけでなく、初島、大島、相模灘を一望することができます。熱海城の内部は甲胄武具・刀剣などを展示する「武家文化資料館」や日本の城に関する様々な展示をする「日本城郭資料館」などがあり、各階ごとに観光客を楽しませる展示物がたくさんあります。また熱海城の隣には西洋美術館(アタミドールコレクション)があります。ここではお城とはうってかわり、アンティークドールやドールハウスが造るメルヘンの世界を楽しむことができます。

浮月楼

静岡駅から歩いて5分ほどの日本庭園・屋敷「浮月楼」。前将軍・徳川慶喜公は大政奉還後の明治二年、元の代官屋敷に手を入れて現在の浮月楼の庭をお作りになり、二十年にわたってお住まいなりました。現在では、結婚式場、会食、宴会、法事、会議に利用されています。庭園内にある、桜の木は、ソメイヨシノより一ヶ月近く早く、三月初旬に見ごろを迎えます。彼岸桜の一種とされます。

可睡斎

掛川にある可睡斎は、室町時代初期に恕仲天誾禅師によって開創された曹洞宗屈指の名刹で、ここでは色鮮やかな大輪の牡丹を楽しむことができます。山号は萬松山、本尊は聖観音、遠州三山のひとつです。可睡斎という寺号の由来は、徳川家康が幼い頃武田信玄の軍から逃れ、父と共にこのお寺に匿われた礼に訪れた際、御前において居眠りをする第11代住職を見て「和尚我を見ること愛児の如し。故に安心して眠る。われその親密の情を喜ぶ、和尚、眠るべし」と言ったそうです。このことから住職が可睡和尚と呼ばれるようになり、いつしか本来東陽軒であった寺の名も可睡斎となったそうです。広い境内には本堂、書院、方丈など多くの建造物が立ち並び、小高い地には秋葉山から遷座した秋葉三尺坊大権現も祀られています。花のある寺としても親しまれており、境内にある牡丹苑では4月下旬から5月初旬にかけて、約60種2000株の牡丹が鮮やかに咲き誇ります。また可睡斎では観光の際に予約をすれば、魚や肉は一切使わないで地元の旬の食材を使った精進料理を味わうこともできます。

了仙寺

下田にある了仙寺は、徳川幕府とペリー提督による日米下田条約が締結された日本開国の国指定史跡です。5月には境内のアメリカジャスミンが満開になり、強い香りを放つことからジャスミン寺とも呼ばれます。法順山了仙寺は日蓮宗の寺で寛永12年、第三代将軍徳川家光の命により防波堤の建設など湊町下田の繁栄の基礎を作った、下田奉公今村正長によって創建されました。1854年に了仙寺は江戸幕府と東インド艦隊司令長官のペリー提督の交渉場所となります。境内から参道にかけて無数のアメリカジャスミンが植樹されています。アメリカジャスミンの花は直径2センチほどで、咲き始めは青紫色、咲き終わりになると白色に変わります。この花はとても甘い香りで、5月初旬から6月初旬の満開の時期には1,000株のアメリカジャスミンが開花してあたり一面にいい香りが漂い、5月後半には「香りの花まつり」が開催されます。また7月から10月にかけても3~5分咲きとなっています。境内には三基の五輪塔、古墳時代に作られた物と推定されている横穴古墳、もあり、境内に隣接する宝物館では、ペリー直筆の公文書や黒船来航絵巻など3,000点を超える国内最大の黒船コレクションを収蔵・展示しています。